ものづくり

一枚の着物が、布の服になるまで

WATASI JAPAN の製品は、すべて 日本で実際に着られていた着物 からできています。新しく織った生地は使いません。役目を終えた着物を仕入れ、解き、洗い、仕立て直す ―― この手間のかかる工程を、福島県白河市の女性職人が一枚ずつ手作業で担っています。

1. 仕入れ・柄を選ぶ

黒留袖を手に取り、使える文様を選び出す

中心にしているのは「黒留袖(くろとめそで)」。日本の結婚式で母親が着る、既婚女性の第一礼装です。古着業者から仕入れ、着なくなった着物をお譲りいただくこともあります。

そこから、イスラムの教えで避けるべきモチーフ(人物・動物などの偶像的な表現)を外し、植物・幾何学・自然の文様だけを選び出します。何トンもの生地に目を通す、いちばん手間のかかる工程です。

2. 解く

縫い目に沿って一枚の着物をていねいにほどく

一枚の着物を、縫い目に沿ってていねいにほどきます。時間と根気のいる手仕事で、この工程は地域の福祉施設が担っています。地域の中で役割を分け合うかたちです。

3. 洗う・整える

洗った黒絹をプレスして折りじわを伸ばす

ほどいた生地を洗い、プレスして、次の工程へ渡します。仕上げにはオゾンによる洗浄も行います。数十年ぶんの折りじわを伸ばし、絹を蘇らせます。

4. 柄合わせ・裁断

柄の出方を見ながら裁ちばさみで絹地を裁つ

柄の出方を見ながら、どこをどう裁つかを決めます。同じ型でも、一枚として同じ仕上がりにはなりません。生地は白河市の縫製工場で裁断します。

5. 縫製

白河の工房で一枚ずつ縫い上げる

70代のベテラン縫製士に弟子入りして受け継いだ技術で、一枚ずつ縫い上げます。機械のラインではなく、人の手で。創業当初の「育児中の女性への内職委託」から続く、地域の女性たちの仕事です。

6. 検針・仕上げ

検針機にかけ、たとう紙で包んで仕上げる

針が残っていないか検針機にかけ、刺繍・検品・梱包まで手作業で仕上げます。同じ着物は二つとないので、WATASI JAPAN の製品もすべて 一点もの。その一枚にしかない柄の位置と絹の風合いを、そのまま活かします。

黒留袖という着物について

  • 日本人女性が着る、最も格の高い着物です。結婚式・披露宴で、母親や仲人夫人など、主役に近い人だけが着ます。
  • 上半身は黒無地、裾に縫い目をまたいで模様がつながる「江戸褄(えどづま)模様」。白生地を仮仕立てして下絵を描き、一枚に戻してから染める ―― 一着に約2週間〜1か月かかる手仕事で、百貨店では約20万円から、作家物では100万円を超えることもあります。
  • 一着に使われる絹糸はおよそ 2,500km 分(繭にして2,500〜4,000個)。
  • 家紋が入ります。黒留袖は最も格の高い 五つ紋
  • 「留袖」の名の由来 ―― 昔、未婚の女性は求愛への返事を袖を振って伝えました(好意なら左右に、そうでなければ上下に)。「振る・振られる」の語源です。もう袖を振る必要のない既婚女性の証として、袖を短く留めた「留袖」が礼装になりました。

これほど手のかかった一着が、日本でも着る機会が少なく、海外の人が目にすることはほとんどありません。その美しさを、かたちを変えて世界で毎日まとえるものにする ―― それが WATASI JAPAN のものづくりです。

数字で見るものづくり

  • 素材:100% 高級絹(黒留袖は礼装のなかでも最上格)
  • 制作期間:一着あたり 2〜4週間
  • 使用する絹糸:長いもので 約2,500km 分
  • 柄の選別:何トン もの生地から適したものを選ぶ
  • 生産地:福島県白河市。裁断・縫製・検品・梱包まで手作業

地域で分け合うものづくり

WATASI JAPAN のものづくりは、一社で完結していません。

  • 福祉施設 ―― 着物ほどきの工程
  • 地域の縫製工場・ベテラン縫製士 ―― 裁断・縫製・技術継承
  • 育児中の女性 ―― 創業時の内職から続く関わり
  • 古着業者・着物を譲ってくださる方々 ―― 素材の供給

衰退しつつある地域の縫製業に仕事を戻し、さまざまな立場の人が工程を分担する ―― 「面」としての取り組みにしています。

サステナブルであること

着物のアップサイクルは、新しい生地を作るための資源・水・エネルギーを使いません。焼却や廃棄になっていたかもしれない着物を、毎日まとう布として次の持ち主に渡します。文化の継承と、環境への配慮を同時に進める ―― これが WATASI JAPAN の考える「エシカル」です。

黒留袖は、日本人女性そのもの

黒留袖は、子供を育て上げた母親が、子の結婚式という人生最良の日に着る着物です。そこには手間や値段だけでなく、「子供に幸せになってほしい」という母親の想いが込められ、時代を越えて残されています。その想いに、宗教も国籍もありません。

長い時をかけても色あせない黒留袖は、家庭を守り、笑いじわを刻んできた日本の女性の姿にも重なります。役目を終えて店の片隅に置かれた一枚を、新しいかたちに再生したとき、その美しさにあらためて気づかされます。

祖先から受け継いだ美しさと想いを、かたちを変えながら次の世代へ渡していく ―― それが、わたしたちのものづくりの根っこにある考えです。

→ この想いの背景は WATASI STORY

つくられたものを見る

▶ 公式ストアで製品を見る https://watasijapan.shop/

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